映画の感想などなど

自分が観た映画の思ったまんまの感想。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶ
モーレツ!オトナ帝国の逆襲

f:id:rotti-k:20200624223610j:image

監督:原恵一
原作:臼井儀人
出演
矢島晶子
ならはしみき
藤原啓治
こおろぎさとみ

公開:2001年4月21日
製作国:日本

 

 

《あまりに有名な作品》

日本の劇場アニメーションとして、その枠を越えて、あまりに高評価であまりに沢山の人が語っている作品なので、何で今更?って感じだけども。

実は年1回は必ずこの映画観てたんだけど、今年、4月に当時の野原ひろし役を演じた声優、藤原啓治さんが亡くなったのが自分の中でショック過ぎて観ることができなくなってしまってた。

普通、声優さんがなくなったらその声優さんの声を聴きたくて、代表作観たりするんだけど、今回はちょっと別。あまりに思い入れの強過ぎる声優さんで、もう新しく声を聴くことはないんだ、ということが受け入れられなかったから。実際他のアニメでも藤原啓治さんの声が聞こえてくるとなんとなく悲しい気持ちになってたし、この作品に関してはまともに観られないと思ったから。

でも、そんなこと言ってたらアニメ相当な数観られなくなるし、生前の作品を楽しんで、キャラクターを好きでいることが1番良いことだよなぁ、とやっと思えてきたんで久々に観た。やっぱり名作中の名作。

 

ストーリーについては省く。あまりに有名なんで。

 

《プロットは完全にホラー》

ご存知日本一有名な春日部の幼稚園児とその家族のドタバタコメディ...の劇場版。『映画版は大人向け』っていうイメージはこの作品からなのかな?ファミリー向けアニメの皮を被ってるけど、確かに大勢の大人が観賞後目を腫らして子供の手を引いて帰るタイプの映画だと思う。じゃあ子供達にとっては?

この映画のストーリーって、前半は子供にとって完全にホラーだと思う。

いつも賑やかな野原家一家のヒロシとミサエが懐かしさに囚われてしんのすけを捨てて子供時代に帰っていく。公開当時の子供達にとっては相当怖かったんじゃなかろーか?

f:id:rotti-k:20200624230634j:image

やたらリアルで(クレヨンしんちゃんのポップな絵柄にこれは絶対確信犯だろ)不気味な塔を大人たちがみんなありがたがって、そのシーンを観ている親たちもスクリーンに向かって目を輝かせて...正直この映画を観に連れて行かれた子供達は最初だけみたら泣くでしょw

んで、話が進むと赤ちゃんのひまわりさえほったらかして、ヒロシとミサエはどんどん子供に戻っていく。今の言葉で言えば完全にネグレクト。

あくまでギャグ漫画だから当時は気づかなかったけど、国民総ネグレクト化の描写は子供視点で観ると相当怖い。仮に実写にしたらこれ子供達泣き叫ぶんじゃ...。

まだ、『過去』『懐かしさ』を理解できないちびっ子には理解するのむずかしいだろうしなぁ。

劇中で風間くんが「懐かしいってそんなに良い事?」って疑問をぼやいてたし。

それでも土台がギャグ漫画の「クレヨンしんちゃん」だから巧妙に怖さがマイルドにされてる。だから子供達もギリギリのバランスで最後のあのシーンまで観ることができる。よくできてる。

 

《懐かしさとは》

作中でヒロシとミサエは、『懐かしい匂い』に惹かれて20世紀博から抜け出せなくなってしまう。自分自身は昭和生まれではあるけど、育った時代は平成なので、オート三輪を見た事とか殆どないし、昭和の活気ある風景ってのは直接体験した世代じゃない。

f:id:rotti-k:20200624232828j:image

でも不思議なもんで『匂い』と言われると確かに『懐かしい匂い』って感覚的にわかる気がする。うまく表現できないけど視覚より直感的に感じる懐かしさ。同じく昭和をテーマにした「always 3丁目の夕陽」や「20世紀少年」よりも個人的にはすっと理解できた気がする。

歳をとって、自分自身の過去や思い出が増えるほど、どうしようもなくこの感覚は強くなってくる。だからこそこの映画は回数を重ねる毎により感情を重ねて観てしまう。

 

 

《野原ひろしについて》

この作品の半分は野原ひろしの立場で観客が観るように作られている。これって本来の「クレヨンしんちゃん」から明らかに外れてる事だから監督も相当覚悟持って作ったんじゃないかな?

親子で観る映画なので、お父さんお母さんと一緒に観にきた子供たちに、『自分だけのものだと思ってた親が、そうではなかったんだ』と気付かせてしまうかも知れない。『自分の親も、自分のために色々なものを捨てたり諦めたりしてきたのかもしれない』と思わせてしまう時点で家族向けのアニメと言って良いのか難しいところ。

逆に大人、というか親にとっては、やっぱりヒロシの涙と回想が人ごととは思えない。

f:id:rotti-k:20200624235143j:image

このあまりに有名なシーン。このシーンが何であんなに感動してしまうのか。それはどんな大人も今を生きていくために捨ててきたもの、変わってしまったものがあるからだと思う。そして、それでもひろしが息子の呼びかけに応えて、子供と生きる未来を選ぶことに心が震わさせるんだと思う。

この少し後のシーンで、靴の匂いを一生懸命嗅いでギャグっぽく描かれてるけど、懐かしい街並みから抜け出す時にひろしは「懐かしくて頭がおかしくなっちまいそうなんだよ!!」て叫んでいる場面がある。

それほどに世の中の野原ひろしたちにとって思い出って捨てがたいものだし帰りたい場所である。

だからこそ、

「とうちゃん、おらがわかる?」

「あぁ、あぁ」

この短いやりとりがとてつもなく重い意味を持って響いてくる。

 

このただの嗚咽のシーンだけで自分は藤原啓治さんを大好きになった。

 

 

《20世紀から21世紀へ》

そして物語の終盤、野原一家が一致団結して敵組織『イエスタデイ・ワンスモア』に立ち向かっていく。

よくここでのひろしの「オレの人生はつまらなくなんかない!家族のいる幸せを、あんたたちにもわけてやりたいくらいだぜ!」って言う名言が取り上げられる。間違いなく最高に素敵なワンシーン。

でも、これを最後に物語はしんのすけが主人公に戻ってくる。同じノスタルジーをテーマに据えた他の作品とは一線を画す場面。

しんちゃんが、全力疾走する姿。

f:id:rotti-k:20200626190952j:image

ひたすら走る。鼻血垂らして傷だらけになってヘトヘトになってただひたすら走る。この走っているシーン、次第にしんちゃん以外の情報を全部カットして、その姿だけをひたすら描くようになる。このシーンを通して子供の観客は素直にしんのすけを応援して、大人の観客は『大人帝国』から自分の現実に帰らなきゃいけないことを悟る。過去を持たず、懐かしさも持たないただの幼稚園児のかけっこに涙する映画ってこれ以外ないだろう。

そして、映画のキャッチフレーズのごとく未来を取り返すんだけど、その理由は...

 

「オラ、おとなになりたいから」

そう。子供の未来とは大人になること。それを真っ直ぐに子供に戻りたい大人に向けて放つ。最期はシンプルな子供の願いに大人帝国は崩壊するのである。

 

思い出ってのは、全ての人に積み重なる大切なもの。そしてもう戻ってこないもの。それを追いかけるケンとチャコを否定できる大人はそういない。でも、過去を持たず、未来しかないしんのすけにとっては、未来を捨ててでも思い出にすがる2人は紛れもない『敵』。そんな感じには描写してないけどね。

この映画が公開されたのは2001年。子供達は平成生まれ。大人の多くは昭和生まれだった。

昭和から平成へ、20世紀から21世紀へ。そして大人から子供へ。いつかは渡さなければならないもの、大切なものに気付かせてくれるほんとうにいい作品だと思う。

 

 

 

《個人的な考え》

こっから完璧に自分個人の考えなので、否定されてもしゃあないことなんだけど、この作品観てると、神山健治監督の『東のエデン』を何故か思い浮かべてしまうんだよね。

f:id:rotti-k:20200627225721j:image

↑これもその内書いてみようかな。

 

『大人帝国』はケンとチャコが過去に固執して未来を否定する話で、最終的には未来を求める主人公に敗れる物語。

一方『東のエデン』は、昭和を否定された人間が、若い世代に「じゃあどうすりゃよかったの?」と投げかける物語。

どちらも古い世代と新しい世代の隔たりを取り扱った作品。

ぜんっぜん中身は違うんだけど、ニート世代の若者が老人に対して「じゃあ一緒に考えようよ」って形で終わる結末は、なんだかしんのすけと『イエスタデイ・ワンスモア』のその後を描いてるような気がしてしまう。いや、全然違うけども。

 

 

長くなったけど、昭和から平成へ(逆かも)のプレゼントのような作品の本作。令和になって一年を過ぎた今、改めて観るのもいいかも。

そして、平成は良かった...などとぼやく老人にならんようにせねば。

攻殻機動隊 SAC_2045

攻殻機動隊 SAC_2045』

f:id:rotti-k:20200430095310j:image
英題:『Ghost in the Shell: SAC_2045』
原作:士郎正宗
監督:神山健治 荒牧伸志
シリーズ構成:神山健治
配信期間:2020年4月23日 -
話数:全12話(シーズン1)

 

ま〜〜た映画じゃないけど、大好きなシリーズなんで別に良いよね。先に言っておくと、最初っからわかってたことだけど、シーズン1で終わるわけもなく既に2ndシーズンも制作決定してるから物語的には序章に過ぎない。ある程度ネタバレも書くけどまだまだわかんないことだらけです。

 

 

《00年代SFアニメの傑作、の続編》

士郎正宗原作の漫画『攻殻機動隊:ghost in the shell』、そしてそれを劇場アニメ化した押井守版が公開されたのが1990年代。『AKIRA』と並んで海外に多大な影響を与え、今や日本のSF(特にアニメ)の代表格となったこの作品に出会ったのが高校から大学にかけて。以前書いた通り。

この作品を00年代の社会に向けてアジャストしたのが神山健治監督作品『攻殻機動隊/STAND ALONE COMPLEX』。

f:id:rotti-k:20200430103120j:image

当時の社会や科学技術を踏まえたテーマ性や世界観から高い評価を受けたこの作品。その続編が、ようやく公開されて今かなり話題になってる。Netflix限定配信っていうのも今の世の中に合わせてきてるよな〜。

 

あくまで私見だけど、アニメに限るとSFの最高傑作は90年代は『攻殻機動隊/ghost in the shell』、00年代は『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』、2010年代は『PSYCHO-PASS』だと思ってる。SFってジャンルは現実の科学技術や社会性と密接に繋がってるからその時代によって合う作品が変わっていくものだと思う。それに合わせて大体10年周期で面白い作品が作られていくものだ、と勝手に思ってる。じゃあ20年代は2023年くらいに出るのかなぁ?と思ってるんだけど、本作『SAC_2045』がそうなれるかどうか...完結するまでまだわからない。正直未知数。

改めて言うけど、現時点のシーズン1は序章なので今後の展開が読めない。ただ、序章としてはなかなか期待できる内容だった。

 

2045年

今作の舞台はタイトル通り2045年。今から25年後の世界である。

〜ざっくりあらすじ〜

高度に科学技術やAIが発達した未来、世界同時デフォルトの発生によって全世界の金融機関が停止、経済破綻が起きて貨幣や電子マネーの価値が暴落。各国は戦争行為を産業として持続可能な戦争、『サスティナブル・ウォー』を行うようになる。徐々に滅びへ向かう世界の中で、すでに解散していた公安9課の再編と新たな事件が描かれる。

 

と、簡単なあらすじなんだけど、SAC第1作目の通称「笑い男事件」の物語が2030年。そこから15年と結構な年月がたった舞台設定になっている。

これは2030年がもう10年後に迫ってきている現代とのバランスを取るためだと思うけど結構思い切った変化だなぁと思う。今を生きている人達が将来生きたまま迎えるであろう年代、だけど適度に遠い未来の絶妙なチョイス。

f:id:rotti-k:20200430144112j:image

↑2030年ごろの荒巻課長。

f:id:rotti-k:20200430144122j:image

↑本作2045年の荒巻課長。義体化してないのに見た目変わってねぇ...。年齢設定特にないとはいえなんか3Dになってむしろ若くなってる気が...。もう80くらいなんじゃ...

 

 

見た目のことは後述するとして、この舞台設定に果たしてどの程度整合性があるのか...経済学者じゃないので断定したことは言えない。けど、奇しくも新型コロナウイルスパンデミックによって今後世界規模の経済不況が予想される今このタイミングでは空恐ろしいもんがある。

もし現実世界でコロナ不況の解決策として米中あたりが戦争の輸出を強化していったら...とか、妄想するとなんだか予言めいた舞台設定な感じがしてしまう。

神山監督はそういう現実を反映させた物語作りがホントにうまい。第1作目で登場した『スタンドアローン・コンプレックス』っていう社会現象もネットワークが浸透して見事に予言的中しちゃってるし。

 

補足...スタンドアローン・コンプレックス

電脳技術という新たな情報ネットワークにより、独立した個人が、結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象を指し、孤立した個人(スタンドアローン)でありながらも全体として集団的な行動(コンプレックス)を取ることを意味する。(Wikiから抜粋したけど、SAC実際に観た方がわかりやすい)

 

↑この現象については現代のインターネット社会で普通に起きていることではなかろーか。

 

 

 

《神山監督の時代の捉え方》

このシーズン1において、2045年という時代を端的に表してるのが第7話「PIE IN THE SKY /はじめての銀行強盗」というお話。かなり印象に残ってる。

それまでは、北米で活動していた少佐たちとその行方を追うトグサ、という構成で物語が進んでいたが、この第7話で舞台が日本の福岡に戻る。(攻殻機動隊の世界では東京都は一度壊滅して、首都が福岡に遷都されている)

他のメンバーより早めに福岡に着いたバトーが、海外の金を両替するために銀行に立ち寄ったところ、その銀行に強盗が押し入ってきて...なんやかんやでバトーが強盗たちに人肌脱いでやって...という内容。

f:id:rotti-k:20200507103228j:image

まぁ本作における日本の状況を説明するためのエピソードなんだけど、この強盗事件の犯人の描き方が実に秀逸。

 

犯人の正体は世界同時デフォルトの影響で財産を失った老人達。銀行の所長に電子マネーを投資して全部溶かされたことの逆恨みからの犯行で、この犯人たちの描き方が実に気分が悪い。途中でたまたまそこに居合わせたおばあちゃんもその犯行に加わってくるんだけど、このおばあちゃんがもうひどい...。

外国通貨を両替したら、世界情勢の影響で換金率が低く、思ったより手元に残らない→「それじゃ困るのよ!」

強盗が手に入れた金は通しナンバーが控えられているから奪ったところで使えない→「私は使えるお金が欲しいの!なんとかしてちょうだい!」と(一応)人質のバトーに言う。

世界同時デフォルトについて→「なんなのそれ?お金の管理は主人任せだったから私何も知らない!なんとかして!」

 

はい、これ。完全にいわゆる『老害』ムーブですわ。自分でリスクを回避する努力はせず、基本的に人からもらうことを前提として自分から情報を入手しようとしない。責任も取らない。でも文句は言う。ここんところの色んな報道で批判の多い老年世代の典型例。現代の『老害』って言う酷い括りで語られる人たちを痛烈に皮肉った描き方が成されてる。

これを観て、「そうそう!こういう無責任で身勝手なジジババが今の日本にゃ多いんだよ!」って感じで高齢者叩きに勤しむおバカちゃんも中には居るかも知れんけど、この作品の舞台設定考えるとハッとさせられる。

この物語は2045年、今から四半世紀経った未来。つまりこのじーさんばーさんって現代の若者たちの未来の姿なんだよね。自分と同年代の人を見てると、確かに25年後こうなってもおかしくないな、って人は一定数いるなぁと感じる。神山監督は別に老人批判をしたいわけでも若者に警告する!って訳でもないんだろうけど、自分もいつかああなるかも知らないと思うと考えさせられるものがある。

流石は『東のエデン』の作者。目の付け所が鋭いというか、色んなものの見方ができる人だなぁ。ちなみにこの話のオチはなんとも言えない胸糞悪さが残る。

 

《現時点での感想》

一作目と比較するとまずまずって言うのが一般的な評価。世間的には3D化に対する否定的な意見が多い。たしかにグラフィックを求める視聴者にとっては違和感が強いと思う。でも個人的にはそこまで気にならなかったかな〜。笑い男ともクゼヒデオとも明らかに異質な今回の敵、ポストヒューマンの『非人間』ぽさ、『異質感』を表現するのにはCGが上手く機能してたと思うし。

何より、これまでのSACのメイン声優さん達が軒並み再集結してることがでかい。これだけ年月経っても変わってないのってホント奇跡に近い。田中敦子さんが「タチコマ!!」て叫んだらそらもう攻殻だわww阪脩さんがもう89歳だけど、現役で課長を演じてるのが嬉しすぎる。

個人的には声優さん達の演技のおかげでCGの違和感はそんなに感じない。

 

これまでのシリーズにはない、相当先が気になるクリフハンガー。これまでとはタイプの違う新キャラの中でもさらに異質な少年『シマムラタカシ』。そして可愛さがアップしてるタチコマたち。続き見たいなぁ。

まずは2ndシーズンを待たねば...。自分は批評家じゃないんで、鋭い考察も細かいつっこみもしきらんけど、これからこの物語がどう広がっていくのかホント楽しみ。

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

『Once Upon a Time in Hollywood』

f:id:rotti-k:20200411232626j:image

監督:クエンティン・タランティーノ
出演者
レオナルド・ディカプリオ
ブラッド・ピット
公開:2019年7月26日
製作国:アメリカ合衆国:イギリス

 

国内が現在こんな大変な状況な中で、映画を見るのは精神衛生上自分には必要なことである。だけど、映画館には行けない。なのでレンタルショップに5分間だけ滞在して借りてきた。

そんなバタバタかりる作品と言えばもう話題作有名作しかないわけで、発掘するような映画の見方が出来ないことが残念で仕方ない。

 

《映画好きによる監督本人のための映画》

さて、アカデミー賞で10部門にノミネートされた本作。ハリウッド界の映画オタク代表、クエンティン・タランティーノ監督による映画。事前情報としては、ブラピとディカプリオが初共演した作品であること、実際に起きた事件をモチーフに作られた物語であること、くらいしか知らずに借りた。

まぁ、タランティーノ監督は「自分が観たいものを作る!」って言うスタンスだから好み分かれるかな?と思ったけど、素敵なエンターテインメントに仕上がってた。

 

というかタランティーノ監督、ブラピがアメ車転がしてるところ撮りたいだけなんじゃ...と思うくらいブラピの運転姿がカッコ良かった。この監督、どう撮れば俳優さんが映えるかホントによく理解してる。それこそ、自分が観たい!と思うものを作ってるからなんだろうけど。

 

 

 

《かんたんな内容》

ハリウッド史に残る惨劇、シャロン・テート殺人事件をモチーフにした物語。1969年のハリウッドを舞台に、映画の舞台裏と俳優たちを描いた作品。

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、かつてテレビドラマの西部劇で主演を務め人気を博した俳優である。が、映画俳優としての活躍が思うようにいかず落ち目であり、精神的に不安定な状態。

このリックの専属スタントマンとして、常にリックのそばにいるのがクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。こちらはトレーラーハウス暮らしで飄々とした人物。帰還兵でありスタントの腕も確かだが、暴力沙汰を起こしたり、スタジオから嫌われたりでリック同様仕事はうまく行ってない。

 

こんな2人(架空の人物)が、実際に起きた事件に絡んでいくことになる。ただ、正直シャロン・テート事件については、ハリウッドのセレブが殺された、くらいの知識しかなかったから正直どこまでが実話なのかそんなにわかんなかった..ww

 

 

《ブラピとディカプリオ》

この2人が共演するってこと自体がまずすごい。これまで何度もニアミスしては共演に至らなかった2人。両方とも好きな俳優。2人がスクリーンに並んでるってだけで何と豪華なことか。2人とも若い頃は美形のアイドル扱いをされてた時期があるけど、どちらも今は全然違う。

ブラピは『バベル』や『ツリー・オブ・ライフ』のような芸術的作品にも出るし、『フューリー』の様なザ・漢!な役柄も演じる。アクションもやるし多才なイメージ。

一方ディカプリオの方は、タイタニックの頃のアイドルイメージから、『アビエイター』や『ギャング・オブ・ニューヨーク』などを通して脱却し、『レヴァナント』で念願の主演男優賞を受賞。職人気質の名優としての地位を揺るぎないものにした。

 

この2人に共通してるのが、両方とも良い歳の喰いかたしてるとこ。

f:id:rotti-k:20200420121435j:image

↑これが...
f:id:rotti-k:20200420121429j:image

↑これ。オフの姿が批判されることもあるけど、一流俳優の貫禄たっぷりで、なんというかスクリーン映えするんだよなぁ。

 

そして、
f:id:rotti-k:20200420121432j:image

↑これが

f:id:rotti-k:20200420122235j:image

↑こう。

ファイトクラブとかセブンのころが、超絶イケメンだったのは間違いないんだけど、今の渋いオッサン姿もカッコいい。『フューリー』とか最高だったし。自分もいつかこんな50代に...いやムリです。

 

若手の頃からハリウッドのトップを走り続けてきた2人(ディカプリオは活動休止期間もあったかな?)は、もう一つ、「映画のプロデュース業も手掛ける」という共通点がある。ディカプリオは実写版『AKIRA』をプロデュースするってのは果たして実現するんだろうか?

ハリウッドの制作現場の裏も表も、酸いも甘いも経験してきてる2人が演じるので、説得力が段違いである。

 

 

《ハリウッドの映画界あれこれ》

1969年と言うと、アメリカではベトナム戦争の影響が色濃く出ている時代である。かつての夢と希望に満ちた映画から、いわゆる「アメリカン・ニューシネマ」が誕生し、アンチヒーローや悲劇的な結末が描かれる様になり、若者はヒッピー文化に傾倒していく時代。テレビの普及という変化も併せて映画をとりまく環境が変わっていた時期...だったらしい。

主人公リックもその変化に対応し切れず、時代に取り残されている俳優の1人として描かれているんだけど、当時、テレビドラマの俳優が映画界で活躍することが非常に難しいとされていたこととか、色々裏の面が描かれていて面白い。

イタリアで作られた西部劇、日本で言うところのいわゆる『マカロニ・ウエスタン』への出演が、当時のイタリア映画の完成度の低さからアメリカ人にとっては『都落ち』と認識されていたこととか現代人の自分は全然知らなかった。クリント・イーストウッドはやっぱり偉大だってことかなww

 

んでもって、自分でさえ知ってる当時のハリウッド界のスターたちが物語にちょこちょこ絡んでいるのも面白い。『大脱走』のスティーブ・マックイーンとか、『グリーン・ホーネット』でアメリカ進出してやや調子に乗ってるブルース・リーとか。不自然にならない良いバランスで、んでもってややタランティーノの主観がはいった描かれ方で登場する。タランティーノ監督って色々極端な映画を作るイメージがあるんだけど、こういったエンターテインメント性に関してはホントに上手いこと作るよなぁ。

 

《ディカプリオの存在感》

ハリウッドの自分が好きな映画俳優のレジェンド達っていうと、自分が子供の頃から既に有名作品に多数出演していた人ばかりである。アーノルド・シュワルツェネッガーはもう72歳だし、トム・クルーズもブラピも50代後半。みんな自分が小学生の頃にはすでにスターだったイメージがある。

勿論ディカプリオも自分の一回り上の世代の45歳なんだけど、この人については結構自分の年齢といい具合にマッチしてるんだよね。

ギルバート・グレイプ』で話題になった後、『ロミオ+ジュリエット』と『タイタニック』で大スターにのし上がっていく頃がちょうど自分が小6くらいの時だった。つまりスターになり始めてから一流のベテラン俳優になるまでをリアルタイムで見ることのできた俳優である。なので、『レヴァナント/蘇りし者』で最優秀主演男優賞獲った時は、「ついにやったか!!」となんだか嬉しくなったもんである。

 

そのディカプリオの演技がやっぱめっちゃ良い。落ち目の情けない俳優って役どころを『タイタニック』の頃には絶対出せなかったであろうすっごい味のある演技をしてる。

劇中劇の撮影の合間、共演する子役に自分の現状を(遠回しに)語って嘆くシーンがあるんだけど、そのシーンがもう...ホンッッッットに情けない。

10歳くらいの子役に慰められて情けない涙を流すだっさいオッサン...爆笑しながらもなんだかこっちも泣けてくる。

ちなみにこの時の子役、ジュリア・バターズっていう女の子の演技もすっごい。正に天才子役。

f:id:rotti-k:20200423174240j:image

↑この子。この年齢でこんな表情の演技出来るとか...やっぱ海外は違う...。

 

 

この映画を通して、普段はブラッド・ピットの映画の方が観る回数多いけど、ディカプリオの映画もっかい見返そうかな?と思うくらい凄く良かった。

 

 

《スター達の悲喜交交》

ハリウッドという場は、俳優達にとっては夢の世界である。1969年よりも昔から、現代に至るまで、そしてこれからもそうだと思う。その歴史の中で、世界中に名の知れ渡る俳優になれるのは一体どのくらいの割合なんだろう?

最近の向こうの業界はポリティカル・コレクトだとか何とか色々ややこしい制約が増えて少し窮屈に感じることがある。それでもスポットライトを求めて多くの人々が夢を追って破れて消えてゆく。そういった人たちにとってこの映画はちょっとした希望になるのかも。

 

史実とはいろいろな面で違い、シャロン・テート事件も全く別の結末を見せるこの映画。ある意味ファンタジーである。

最後のブラピの痛快な暴れっぷりはタランティーノ監督にとって、『昔々、ハリウッドで』起きた陰惨な事件と、その時代への報復であると同時に、映画を観る人演じる人への愛情たっぷりな贈り物だと思った。ラストシーンのあの穏やかな空気を吸って俳優さん達はこれからもハリウッドのスクリーンへ向かっていくのだろう。

LOGAN/ローガン

『LOGAN/ローガン』

原題:Logan

主演:ヒュー・ジャックマン

監督:ジェームズ・マンゴールド

製作国:アメリカ合衆国

公開:2017年

f:id:rotti-k:20191225225916j:image

 

 以前この作品については触れたことがあるんだけど、『X-MENーダークフェニックスー』を観て何となく改めてこの作品の感想書きたくなった。

 

『ローガン』

 タイトルを見て、直ぐに主人公が思い浮かぶ人はアメコミある程度好きな人。上のポスター見て「あぁこの人ね」って分かるのが一般的な人。

 この映画はアメリカの超超超代表的なコミック「X-MEN」の主要人物ウルヴァリンを題材にした作品。「ローガン」というタイトルはウルヴァリンの親しい人からの呼び名。

f:id:rotti-k:20191225230702j:image

↑この人のこと、って言えば皆すぐわかると思う。

 

 この映画、タイトルがウルヴァリンではないことにはちゃんと意味がある。本作はヒーローとしてのこの人じゃなくってあくまでローガン個人の物語である。

 

《この物語の立ち位置》

 X-MENの映画シリーズはちと複雑な時系列になっている。

①最初に映画化された現代社会を扱ったシリーズ。

f:id:rotti-k:20191225231324j:image

 

②冷戦期からの過去、X-MEN黎明期を描いた作品。

f:id:rotti-k:20191225231459j:image

 

③この2つの時代を行き来しながら未来を変える話『フューチャーアンドパスト』

f:id:rotti-k:20191225231707j:image

 

④『フューチャーアンドパスト』によって改変された後の世界の物語。

f:id:rotti-k:20191225231935j:image

 

 未来が変わったりしてるからシリーズ観るの結構ややこしいんだけど、この『ローガン』はこれのどれにも属していない。厳密に言えば①の未来だと言えるかもしれないけど、かなり独立性が高くてシリーズに含めていいのかわからない。

 

《あらすじ》

 2029年、超人集団のX-MENは解散、新たなミュータントが生まれなくなって25年、かつての「ウルヴァリン」ことローガンはリムジン運転手としてひっそりと暮らしている。

 ある日、成り行き上、ローラという11歳の少女を、ミュータントが唯一平和に暮らせる楽園「エデン」と呼ばれる合衆国北方まで連れて行って欲しいと言う依頼を受けることとなり、北への逃避行が始まる。

超ざっくり言うとこんな感じ。

 

《ヒーローの成れの果て》

 本作では、X-MENで活躍するミュータントは殆ど存在しなくなっている。ローガンは数少ない生き残り。

 ウルヴァリンとしての本来の能力は...ほぼほぼ不老不死であること。

f:id:rotti-k:20191225233620j:image

 銃で打たれようが剣で切り刻まれようが、原爆に体を焼かれようが(マジで)、肉体が再生され死なない。そのヒーリングファクターゆえに他の人じゃ耐えられない人体実験にも耐えてしまうもんだから、骨格にアダマンチウムという金属を埋め込まれ、手からあの爪を出せるようになっている。そして150年くらい生きてる超長寿なので、どの時代の作品にも出ることができる。

 こんな出自なので、特に人気で、いろんな作品に登場するんだけど......

 

 本作のローガンは...

f:id:rotti-k:20191225234231j:image

↑ご覧の通りのオッさん...あの逞しいウルヴァリンとは思えない...。

 能力は減退し、治癒力は落ち、老化も進んで常に咳をして、終始調子悪そうな感じ。しかもかつてX-MENを率いていたプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアは...

f:id:rotti-k:20191225234621j:image

↑ボケの老人と化している。

 世界最高のテレパシー能力を持っているチャールズは、アルツハイマーにかかっていて、薬を飲ませないと能力が暴走して全ての人類の精神を壊しかねない存在に...。

 

 ............いや、もう......ね。最初なんだか見てらんなかったですよ。世界中の子供達が憧れるヒーローが、未来では老眼鏡かけて老々介護してるとか......少年の夢ぶっ壊されまくりですよ。

 もう世界を救うために戦うヒーローじゃないから「ウルヴァリン」の名は語っていない。だからこの映画って正確にはヒーローものとさえ言えないかもしれない。

 

 

《戦うオッさんと戦う少女》

 生きる意味を失って居場所も失ったローガンが、最初は拒絶するものの結局連れて旅をすることになるのがローラという少女。

 

f:id:rotti-k:20191231011933j:image

↑子役のダフネ・キーン(当時まだ12歳!)が演じるローラ。この子の演技力の高さもこの作品の魅力。

 

 

 この子も、手の爪を見ればわかるようにミュータント。この時代に生まれた数少ないミュータントのこの子を保護して安全なところまで連れていくのが旅の目的。

 色々訳ありで命を狙われている少女なんだけど、手の爪とこの子のコードネーム「X-23」という名前を聞けば、分かる人にはすぐどんな子かわかると思う。

 

 「オッさんと少女」っていう組み合わせは、「レオン」を見た時から大好きである。変な意味じゃなく。無口な少女と死にそうなオッさん、この手の作品のお約束で、最初は険悪だった2人の関係が徐々に親子のような絆に変わっていく。その過程を描くことがメインなので、他のアメコミ原作の映画に比べると、戦闘描写はやや少なめ。

 よく自分も大好きな名作ゲーム「THE LAST OF US」との類似性を指摘されるけど、確かに空気感は近い。

f:id:rotti-k:20200116201713j:image

↑年齢も目的も似ているところが多い。

 どちらも名作だし好き。

 ただ、本作「ローガン」はX-MENという土台がある。それまでの彼の人生を知っているからこそ、感情移入出来るし彼の人生を見届けたいという気持ちにさせられる。

 

f:id:rotti-k:20200121195723j:image

↑ヒーロー時代のローガン。映画版の彼も通してみると大概壮絶な人生を送ってる。

 

 

 

 

こっから盛大にネタバレ。

《終われなくなった映画界で描く終わり》

 この映画、前述の通り、最初から悲壮感漂いまくりで結末もなんとなくわかっちゃうんだけど......うん、ローガンは死にます。奇跡の逆転もどんでん返しもなく死にます。この「ローガンの最期」は、今のハリウッド界、とりわけヒーロー映画においてはとてつもなくでかい意味を持つようになった。

 

 

 映画のユニバース化が進んだ現在、映画という娯楽にエンディングを描くことができなくなってきている、ということを以前書いたことがある。

 どの作品もクリフハンガーで終わり、作品一つ一つが全て次への繋ぎになってしまう。

 『アベンジャーズ/エンドゲーム』でキャプテン・アメリカとアイアンマンの最期を描いたものの、それも悪い見方をすると、次のスパイダーマンへの繋ぎに成り下がってしまってるところがあることは、否定出来ない事実である。 

 あれだけ人気を博したアメリカのドラマ『ウォーキング・デッド』もシーズン10まで続いて、どう着地するのか、着地出来るのか分からなくなってしまっている。いや今でも面白いから観てるけども。

 

 そんな中でここまで明確に、しかも長年主役を務めてきたヒーローの最後を描いた本作は、他には決して出せない輝きを放っているように思う。

 ラストシーンの墓標のX印。あれが、ローガンの人生と、ヒュー・ジャックマンの代表作としての価値を象徴してる。

 今後、映画のX-MENシリーズが作られ続けるとしたら、再びウルヴァリンが登場することがあるかも知れない。ヒュー・ジャックマン本人も、別の人が演じるウルヴァリンを楽しみにしてる旨のコメントも残してる。でも、もう二度とこれまでのシリーズで出てきたローガンは出てこないだろう。登場するとしても別の新たなウルヴァリンだと思う。

それだけヒーローとしての姿が定着したのは、やはりヒュー・ジャックマンの力が大きいと思う。よく考えたらスーパーマンスパイダーマンバットマンも映画では俳優が交代しながら演じている。それをローガンに関しては17年間ずっとこの人が演じてきたこと自体凄いことだと思う。

 

そういうことも含めてこの映画、アメコミ映画にも関わらずめっちゃ感動した。これからの映画界で、とりわけヒーローものでこんな素晴らしい『終わり』を描いた作品にまた会えるだろうか。どのシリーズもいつかは明確な『終わり』が来ること、寂しかろうとそれは必要なものだと思う。

自分が映画好きになった理由その3

つまんねぇ、文章下手、と思われるかもとか考えてみたんだけど、よく考えたら大して大勢に読まれるわけでもないから気にせず続けよう。

 

前回は、主にSF映画で、自分に影響与えた作品を書いたけど、今回は少し視点を変えて書く。

高校生の頃、SF映画ばっかり観てたかというとそうでもなくて、高校終わり頃から別のジャンルも徐々に観るようになった。

 

 

 

《日本映画を多く観るきっかけの映画》

 

『GO』

f:id:rotti-k:20200318180744j:image

監督:行定勲
主演:窪塚洋介
公開:2001年10月20日
製作国:日本

 

高校2〜3年生頃にこの映画を観た。公開した年の映画賞を多数受賞した有名作品だし、たまには邦画でも、って感じで何の気なしにレンタルで観た映画。

〜前置き〜

今になって考えると多感な時期に、そして日韓の関係が変化する前に観ることができて良かったなぁ、と思う。国際情勢的に今この映画を公開すると、少なくともメディアとかネット上で、無駄に騒ぎ立てられて先入観なしに本作を見れなかったのではなかろうか。

 

そのうちこの映画についても書いてみようかと思うから、当時の自分の感想を中心に言うと、まず、『爽やか!』。

事前情報一切なしで観たけど、日本映画ってどうもジメジメした作品が多いイメージで、しかも観始めると主人公がいわゆる在日コリアンってことがわかって...こりゃ暗い内容かなーと思って観てたんだけど、中身は全然違った。

「これは僕の恋愛に関する物語だ。」

という独白から始まって、ほぼほぼ窪塚洋介演じるクルパーの目線での物語。

人種差別に関する事柄や、それにまつわる非常に重い展開もあるんだけど、あくまで主人公の青春の物語を中心としている。そして宮藤官九郎の脚本も落語的展開が上手にはまってるし面白い。

 

この映画をきっかけに日本映画も良いもの沢山あるよな、ということでレンタル中心だけど邦画もよく観るようになった。

 

...『世界の中心で愛を叫ぶ』をカップルだらけの中で一人で観に行ったのは黒歴史とさせていただく。

 

 

《大学入学後の好みの変化》

一年浪人した後で大学に入学。それ以降またガラッと好みが変わる。音楽サークルに入って、生活の中心がバンド活動になってたんだけど、世の中の大多数の大学生と同じように(失礼)、ほんっっとに自堕落な生活をしていたと思う。

授業以外の時間はひたすらバンド→バイト→バンド→ゲーム→酒→バンド。みたいな生活。なんと幸せ。大学生の良いところはとにかく時間がいっぱいあること。映画を観る時間も十分。

 

大学時代に何度も見返した映画を思いつく限り挙げてみる。

 

アカルイミライ

f:id:rotti-k:20200331212024j:image

アカルイミライ/Bright Future』
監督:黒沢清
主演:オダギリジョー
公開:2003年1月18日
製作国:日本

 

物悲しい退廃的な雰囲気に、オダギリジョー浅野忠信の実質ダブル主演という時点で間違いない作品。

そして何より、当時聴きまくってて、コピーもしてたバンドの、THE BACK HORNによる主題歌『未来』があまりにも素敵すぎた。この映画の最大の見所はエンディングでこの曲が流れ出すところだと思ってるww

この映画にあてられて(?)大学時代は、それまでのアクションやSF映画よりもこういった人間ドラマ中心の邦画ばかり観るようになる。

 

きょうのできごと

f:id:rotti-k:20200331214951j:image

きょうのできごと/a day on the planet』
監督:行定勲
出演者:田中麗奈妻夫木聡
公開:2004年3月20日
製作国:日本

 

先述の『GO』で一躍有名になった行定勲監督の作品。妻夫木聡はじめ当時の若手実力派俳優が多く出演しており、群像劇の様な形。これ、いつかきちんと見返して感想書きたいんだけど、本当に大学時代何度も何度も観た。内容は、タイトル通りのある大学生たちの何気ない1日の出来事を描いた作品。

バイト帰りに酒飲みながら観るのが最高に良い。ほんっっとに内容は何でもないもんなんだけど、「うまく言われへんけど...」って言うセリフが全て表してる。

なんでもない1日がなによりも得難いものだということ。

...そして田中麗奈が最も可愛い頃の映画。

 

『ゆれる』

f:id:rotti-k:20200331220408j:image

『ゆれる/SWAY』
監督:西川美和
出演者:オダギリジョー香川照之
公開:2006年7月8日
製作国:日本

 

こういったなんとも言えない後味の映画も観るようになった。この後も色んな映画で独特な存在感を出してる香川照之だけど、この人のこの映画での演技は別格で良いんだよね。オダギリジョーもそうだけど、映画って内容だけでなく俳優の演技とか色々な視点で楽しめるんだな、と知ったのもこの時期。

 

 

ジョゼと虎と魚たち

f:id:rotti-k:20200331221204j:image

ジョゼと虎と魚たち
監督:犬童一心
出演者:妻夫木聡池脇千鶴
公開:2003年12月13日
製作国:日本

 

ここまでタイトルをつらつらと書き連ねて気付いたけど、観てる映画が典型的な大学生好みだなwwこれも当時何回も観たな。この作品とか『きょうのできごと』とかは、胸に響く年齢がわりと限られてるんだろうとは思うけど、00年代にこういった映画の名作が沢山作られていたことは大学生の自分にとっては幸せだったんだろう。

勿論、主題歌『ハイウェイ』も当時の自分にはドンピシャでくるりも聴きまくった。

...池脇千鶴いいよね。

 

 

《ちょっと番外編》

若干年代が変わるけど、大学時代のこの邦画の流れの締め(?)として挙げる映画。

 

ソラニン

f:id:rotti-k:20200331222557j:image

ソラニン
監督:三木孝浩
原作:浅野いにお
出演者:宮崎あおい高良健吾
公開:2010年4月3日
製作国:日本

 

この映画、自分の人生と不思議なリンクをした作品ですごく印象に残ってる。

一応軽く説明しておくと、『おやすみプンプン』で有名な浅野いにお原作の漫画を実写化したものである。

f:id:rotti-k:20200331223125j:image

↑原作漫画の表紙

この漫画、同年代で大学時代に音楽サークルに入ってた人の6〜7割は読んでるんじゃないだろーか?

主人公はOL2年目の芽衣子、現在と大学時代を交互に描いていく。同棲している種田はバイトをしつつもバンドへの未練を断ち切れず宙ぶらりんな生活を送っている。わずか二巻の漫画だけど、多くの人の共感を呼んだ...であろう作品。

 

自分もこれを大学生のサークルを引退する頃に読んで、漠然とサークル仲間も自分もこんな感じで大人になってくのかな?とか思ってた。

で、資格を取るために一年大学に長く残って、採用試験に無事落ちて、さてフリーターか...という春の時期に、この映画が実写公開された。

自分のバンド仲間はちょうど社会人2年目に入る頃で、中にはもうその1年間で仕事を辞めたヤツも居る。そんな中で何一つ将来が決まらない中途半端な時期の自分にとって、本作はなんだか全然人ごとに思えなかった。

まぁ、種田と違って彼女と同棲もあんな結末にもなってやしないんだけどもww

f:id:rotti-k:20200331225333j:image

で、映画版の方は、出来そのものはそんなに他とは別格な良さがあった訳じゃない。原作との雰囲気の違いとか、漫画の実写化によくある文句も出てたし。

f:id:rotti-k:20200331225712j:image

↑何より芽衣子にしちゃ宮崎あおいは綺麗過ぎるww

 

ただ、ライブシーンは良かったと思う。途中から種田のギターが入ってるところとか映画ならではの表現もあったし。アジカンの曲もイメージ通りだったし。

何組のサークルのバンドがこの曲コピーしたんだろ?ww

 

 

 

 

というわけで、この大学時代、他の多くの人と同じくモラトリアムで自由な時間を過ごして映画の好みを別方向に広げることになった。今回挙げた映画は、年齢や時期によっては全く興味を惹かれない映画かも知れない。なので、他の人とは全く違う感想を持ったり、今観ると違う印象に映るかも。

その分限られた時期に出会えた映画というものはその人の人生になんらかの形で残っていくものだと思う。

自分が映画好きになった理由その2

さて、自分が影響受けた映画たちをつらつらと書き連ねておりますけども、自分の映画の好みってわりとメジャーな映画ばっかり。まぁ評論家みたいなこと書くつもりもないしいいけども。

 

ちなみに中高生の頃は色々他の楽しい趣味が増えたせいもあってあんまり映画は観ていない。相変わらず自宅で週末に親父が観てるロードショーは観てたけど。

 

今回も下手な解説はせずに書きます。

 

《自分をSFの世界にのめり込ませた映画たち》

マトリックス

f:id:rotti-k:20200315221526j:image

監督:ラリー・ウォシャウスキー
  アンディ・ウォシャウスキー
主演:キアヌ・リーブス
公開:1999年3月31日
製作国:アメリカ合衆国

 

言わずと知れた超有名なSFアクション映画。革新的なVFX、スタイリッシュなガンアクションとカンフー、いちいちくどいまでのかっこよさげなファッション、やや難解な世界観。これを観た自分と同年代の人達を大勢(世界中)厨二病へと導いた作品である。

一応真面目な事言うと、90年代終わり頃の日本は新世紀エヴァンゲリオンが社会現象になり、陰鬱で難解な物語が量産されていた時期だから、本作がウケる地盤のようなものは既に出来ていたように思う。

とはいえいわゆるオタクが今よりまだまだ「暗いヤツら、根暗な人」といったネガティブな見方をされることが多かった時代。そこに監督のウォシャウスキー兄弟(今は姉妹)という超ド級のオタクがこんな万人にヒットするレベルのスタイリッシュで洗練されたオタク文化を生み出した。これって現代社会でオタクがある程度受け入れられてることに多少なりとも影響してるんじゃないかな。

 

で、この作品自体が多くのSF作品の影響を受けて作られた映画だってのは超有名な話で、元ネタを知ってるとより深く楽しめるタイプの映画...なんだけど、中学生の自分はもちろんそんなところまで掘り下げるほど熱心に観ていたわけでもなく、後になって知っていくことになる。(後述)

 

で、なんやかんやでこの映画の三部作は何度も何度も見返していくことになる。

 

マトリックス リローデッド』

f:id:rotti-k:20200316161040j:image

原題『The Matrix Reloaded
主演:キアヌ・リーブス
公開:2003年5月15日
製作国:アメリカ合衆国

というわけで、高校時代に観に行った第二部。もちろん映画館で観ましたさ。

アクションシーンが一番ド派手で楽しかった。そしてこの作品で、ヒロインのトリニティが乗っていたDUCATI 998が異常にカッコ良かったことが...後にバイク免許取得に駆り立てることになる。

この映画観てハリウッドの映画製作の規模のデカさを思い知らされた。だってバイクチェイスシーン撮影のために、実際に3キロ位の長さのハイウェイ作ってしまうんだもの。

 

 

マトリックス レボリューションズ』

f:id:rotti-k:20200317105952j:image

監督:アンディ・ウォシャウスキー
        ラリー・ウォシャウスキー
主演:キアヌ・リーブス
公開:2003年11月5日
製作国:アメリカ合衆国

 

さて、中高生の自分をどっぷりSFの世界に浸らせてくれた本シリーズ完結編。

この映画に関しては、リローデッドからの期待値が高かったために、この映画は何がなんでも公開初日に観たかった。ゲーム版もアニマトリックスも観た。

準備万端だったんだけど、この映画、前作の大ヒットを受けて全世界同時刻上映という、非常に珍しい形態で公開されたんだよね。

本国アメリカの公開時刻に合わせて、日本での公開は夜11時を多分過ぎてたんじゃないかな。それを観るために親父に車を出させて、友達と2人で観に行って帰る頃には夜中の3時近かったと思う。

そこまでして観たこの完結編...映画館を出て友達との感想⇒「う、うん。ありなんじゃないかな?」

残念ながらリローデッドと同じような派手なアクション求めて行った高校生にはあまり理解できなかった、というのがホントのところ。

大人になって色々な映画の結末を観てると、この作品も綺麗に終わってて見所も沢山あるんだけど、如何せん当時の自分は若かった。

カンフーシーンが少なかったことと結末にあっけにとられたことで、当時は世間の評価も賛否両論だったと思う。今見ると如何にもアメリカらしいメカ描写とか、当時にしてはオーバーテクノロジー気味なVFXとか、案外楽しめる。

 

来年このマトリックスシリーズの4作目が公開されるらしいんだけど、はてさて。

 

こうして、高校までの自分は有名なハリウッド映画中心の映画ライフを過ごしていく。90年代末期から00年代にかけて、CG技術の進化ペースが凄まじかった。それを駆使したスターウォーズ新三部作やパイレーツオブカリビアンシリーズなど、親が好きな映画は家族で観に行った。後々で友人から高校生で家族一緒に映画館に行くのは珍しい、と言われたから他の家庭よりは幾分映画に触れる機会の多い家族だったのかもしれない。

 

 

《大学受験の思い出》

マトリックス以外にも様々なSF作品を観て、順調にオタクな好みになっていく中で当然アニメも色々観ていくことになるが、大学受験の時の忘れられない思い出がある。

公立大学の受験の際、地元を離れたい一心で県外の大学を受験することにした。当然日帰りでは無理なので、安いホテルを取って宿泊することになる。縁起を担いで豚カツを食べて、最後に英単語でも復習して明日に備えよう...という時に、たまたま部屋のCATVで流れていた映画が...これ。

 

f:id:rotti-k:20200317134011j:image

GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊
監督:押井守
出演者:田中敦子大塚明夫山寺宏一
公開:1995年11月18日(1995年版)
製作国:日本

 

一応言っておくと、この作品、中学生の頃にすでに観ていた映画である。高校に入って、これがマトリックスの元ネタになったんだということも知ってて、テレビアニメ版の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』も観ていた。

ただ、アニメとしてはどちらかというとSACの方が好きだった自分は、本作が何故そんなに評価が高いのか、観たばかりの頃はよくわかっていなかった。

それが、ホテルで誰にも邪魔されず、大音量で観るとあら不思議。一気に世界に引き込まれて夢中になってしまった。セル画としては最高峰の品質に押井守監督のこだわりが入りまくった音響。ある意味ここまで作者のエゴを詰め込んだ作品だったのかと気付かされて気がついたら最後まで見てしまった。過去のSF小説や映画を吸収したこの作品が後の映画にも多大な影響を与える。そんな繋がりを味わった。

 

 

 

 

大学には落ちた。

 

 

 

 

大学に落ちて、将来の展望を全く見出せなくなった時期、すごいタイミングで公開されたのがこれ。

f:id:rotti-k:20200317152456j:image

イノセンス/INNOCENCE』
監督:押井守

主演:大塚明夫
公開:2004年3月6日
製作国:日本

 

何ともすごいタイミングで公開されたなーと思うけど、進路が決まらず路頭に迷った3月に公開されたので、これは映画館に観に行った。

この映画、殆どの人が映像美に注目すると思うんだけど、押井守映画を映画館で初めて観て衝撃だったのが全ての『音』。これは言葉で説明しても伝わりきれない。スカイウォーカーサウンドで収録された足音、銃声、オルゴールの音色、全てが高品質。70人以上の民謡歌手を集めて音を重ねた『傀儡謡』。シナリオに関しては賛否が別れるこの映画、音に関してはどこを取っても完璧としか言いようがない。

かくして、この作品は映画館で観ることに価値があると思った自分(無職)は数日後、2度目の鑑賞に映画館へ行くこととなる。

人によって意見様々だけど、自分は攻殻機動隊関連作品の中ではイノセンスが一番好きな作品である。

また、この映画をきっかけに、監督の言いたいこととか主張、悪くいえばエゴの強い作品を好むようになった。

 

とりあえず中高生時代のものはここまで。他にもミッション・インポッシブルシリーズとか、スターウォーズ関連とか、高校時代に観たもの沢山あるけど、洋画で影響受けたっていうとマトリックスがやっぱ自分の中ではでかいかなー。

次回は高校途中から大学時代にかけて。鑑賞する映画が大きく変化した頃についてまとめてみるかなー。

自分が映画好きになった理由

今回は映画を一本に絞らずに書きます。というのも今年に入ってからというものあまりに忙しくて映画館に全く行けてないので、Netflixで旧作観るくらいしか映画に浸ってない。...ので、幼少期の頃から自分に影響与えてきたような映画をつらつらと書いてみる。

 

 

《生まれて初めて映画館で観た映画》

ゴジラVSビオランテ

f:id:rotti-k:20200312182419j:image

 

監督:大森一樹(本編)川北紘一(特撮)
主演:三田村邦彦
公開:1989年12月16日
製作国:日本

 

映画好きの親父に連れられて、何故か2人きりで映画館に観に行った。当時まだ4歳くらいなので、内容は殆ど覚えてない...が、ビオランテがめちゃくちゃ怖かった、という記憶だけは強烈に残ってる。今考えたら幼児を連れてどんな映画観せに行ってんだよ、うちの親父は......。

この映画、結構自分の中でトラウマになってる...。だってビオランテ今見ても他の怪獣に比べるとグロテスクな見た目だし、シナリオはとても幼児に理解できるもんじゃないし...ほんと、なんで連れてったんだ...。

 

ちなみにゴジラシリーズとしては、シリアス路線のために、興行収入的には失敗。次からは娯楽映画路線に切り替えていくんだけど、後々の評価では2014年時点でゴジラシリーズで、人気No.1だったそうな。

理由としては90年代初頭の作品ながら、「本当に恐ろしいのはゴジラではなく人間」って言う根底をしっかりおさえて、初代ゴジラと同じく、社会風刺映画としてキッチリとテーマを描き切っていること。シナリオの完成度が高いこと、だそうだ。

 

幼児の自分は、ドラえもんアンパンマンでの情操教育(?)を受けず、この映画をスタートにしちまったもんだから、そのまんまいったら特撮とかグロテスクな怪獣とかに傾倒する歪んだ感性をみにつけていく身につけていくところだった。...危ない...。

 

《幼少期を支えた(?)映画》

となりのトトロ

f:id:rotti-k:20200312185035j:image

監督:宮崎駿

主演:日高のり子

公開:1988年4月16日

製作国:日本

 

この作品はもう言わずもがな。公開の順番は前後するけど、こっちは映画館ではなく、親が買ってくれたVHSで観た。

幼稚園児の自分はとにかくトトロがすきだったらしくて、幼稚園から帰ってから友達と遊ぶ回数よりトトロを見る回数の方が多かったらしい。ゴジラで、おかしな方向に行ってしまう前に一般的なちびっ子の感性に戻してくれた映画。それ以来今でもジブリ好きである。

...ただ、当時の自分は、「ホントに狂ったようにトトロ観てて、壊れたレコードのようにメイちゃんの台詞を繰り返してたから、何かしらの障害を持ってる子なんじゃないか?と思ってた。」(母親談)

...らしい。

 

 

《小学生時代に観た2つのSF映画...とB級映画たち》

小学生の頃はわりと子供らしい映画をよく観た。東映アニメフェアで毎年ドラゴンボール観たり、グーニーズとかネバーエンディングストーリーみたいな冒険映画を何度も観たり。

そんななかで、多分同年代なら同じ人もたくさんいると思うけど、週末の夜21:00以降は親父の時間。金曜ロードショー日曜洋画劇場を毎週欠かさず観ていた。貧しい団地住まいの自宅にテレビが2つあるわけもなく、強制的に週最低二本は確実に映画を観ていたことになる。

そんななかでも親父からこの映画は面白い!って言われて鑑賞して、少年時代の自分の映画の好みにでっかい影響を与えた作品がいくつか。

 

ターミネーター2

f:id:rotti-k:20200312190549j:image
原題:Terminator 2: Judgment Day
監督:ジェームズ・キャメロン
主演:アーノルド・シュワルツェネッガー
公開:1991年7月3日
製作国:アメリカ合衆国

 

これは今でも個別に書いてみたい位に好きな映画。SF映画が好きになったきっかけ。

当時スターウォーズやエイリアンみたいなスペースオペラ的SFしか知らなかった自分には衝撃的な作品だった。

この映画の好きなところは挙げてったらキリがないくらいなんだけど、案外一番好きなのはあのアメリカ西部の荒涼とした雰囲気かもしれない。現代を舞台に、無機質な刑務所や寒々とした砂漠のシーンが世界の終末を暗示させる。そういったやや暗い雰囲気が当時の自分に突き刺さった。

もちろん「アスタラビスタ、ベイビー」とか、ラストのサムズアップとか子供心に熱くなったし、エンターテインメントとしても素晴らしい作品だと思う。

 

そしてほぼ同時期に親父に見せられたもう一つのSFの名作中の名作。

ブレードランナー

f:id:rotti-k:20200313124141j:image

監督
リドリー・スコット
原作:
フィリップ・K・ディック
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
出演者:ハリソン・フォード
公開:1982年6月25日
製作国:アメリカ合衆国・イギリス領香港(当時)

 

これもあまりに有名過ぎて、考察するなんぞ恐れ多い作品。

小学一年生の頃に観せられて......最初はポカーーンとしてたのを覚えてる。

この映画を年端のいかないガキが年に数回ずつ見せられる...ある意味虐待では...?wwww

当時の自分がまともにシナリオを理解出来るはずもないんだけど、回数を重ねる毎にその世界観の凄さに気付いていった。完全に洗脳だよな..w

この映画の中身そのものと言うよりは、その独創性が後々の自分の映画の好みに色濃く影響を与えてる。その結果は後で書くけど、ghost in the shellPSYCHO-PASSみたいなサイバーパンクなアニメが好きであることの源流はここで育てられたと思う。

 

 

《その他の小学生時代の映画》

その他にも小学生の頃に親父が観ているのを自然と横で観ていたんだが...当然子供が観たいものを選ぶわけもなく、今思えばB級映画も沢山それと知らずに触れている。

例えば...

『ニューヨーク 1997』

f:id:rotti-k:20200313161441j:image

原題:『Escape from New York』
監督:ジョン・カーペンター
主演:カート・ラッセル
公開:1981年7月10日
製作国:アメリカ合衆国

 

ゲームシリーズ、メタルギアソリッドの元ネタの一つのこの映画。中身はかんっぜんにB級映画なんだけど、これも小学生の頃に観たことがある。今でもハリウッドのアクション映画よく観るのはこーゆーのを日常的に観てたからだと思う。

ちなみにメタルギアシリーズは相当のめり込んでやってたけど、この映画を見返したりはしてない...ww

 

 

 

こうして、映画が身近なもんとして育ってきた中で、小学生の終わり頃から徐々に自分の好みと言うものが芽生え始めてくる。

 

《日本の映画って凄いと教えてくれた2作品》

『夢』

f:id:rotti-k:20200313183004j:image

監督:黒澤明
出演:寺尾聰倍賞美津子原田美枝子
公開:1990年5月25日
製作国:日本・アメリカ合衆国(合作)

 

この映画公開こそ1990年だけど、自分が観たのはそれから5年ほど経ってから。親父は派手なアクションのない映画はあんまり観なかった...。当時10歳くらいの自分にとってはこの映画は半分ホラー映画という認識だった。

 

「こんな夢をみた」

と言う文章から始まるオムニバスストーリー。

その中でも、『トンネル』と『赤富士』というエピソードは子供心に恐ろしくて何度も夢に見てしまった。

でも、同時にこの映画の映像の美しさに圧倒された。『水車のある村』とかね。

『ストーリーの細かい起承転結や、設定の解説とかが無くても感覚的に感動できる映画』というものの存在をこの映画から教わった。

大人になった今ならこの映画の社会的な主張とか風刺とかを読み解くこともできるかもしれんけど、ただただ映像に引き込まれていく体験をした。

 

 

そして、小学生最後の年に観たのが...

もののけ姫

f:id:rotti-k:20200313191149j:image

監督:宮崎駿
出演:松田洋治石田ゆり子
公開:1997年7月12日
製作国:日本

 

この映画に関しては親に頼み込んで公開してすぐ映画館に観に行った。明確に観たい!と思って観に行った。

で、当時の映画館は建物から出なけりゃ何度も繰り返し観ることが出来たから、あろうことか一緒に連れてきた弟を先に帰して、自分1人で2回目鑑賞する暴挙にでてしまった。

それまでのジブリ映画も大概何回もテレビで観てるけど、これはどうしても映画館で観たかった。

今更詳細は語らないけど、この映画3桁を軽く超えて繰り返して観てるんだけど、本当に何回見ても色褪せない。

子供の頃は、人と自然の共存について考えさせられ、大人になると、歴史の本筋から逸れたアウトロー達の物語として捉えて、職業柄本当に勉強にもなって...とにかく少年期にこの映画にのめり込んだことは自分の人格形成に大きく影響したんだなぁと今になって思う。

 

 

 

というわけで、少年時代の自分が影響を受けた映画たちでした。

次は中学以降を書いてみるかな?中学以降はまた別のものに影響を受けていくわけだけど、やっぱり子供の頃の親の影響ってでかいんだな〜。親父の映画の好みと今の自分の好みじゃ色々と違うんだけど、それでも影響は受けてると思う。