映画の感想などなど

自分が観た映画の思ったまんまの感想。

るろうに剣心

るろうに剣心

監督:大友啓史
原作
和月伸宏
るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』
主演:佐藤健
公開:2012年8月25日
製作国:日本

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るろうに剣心
「京都大火編 / 伝説の最期編」
監督:大友啓史

主演:佐藤健
公開
2014年8月1日(京都大火編)
2014年9月13日(伝説の最期編)
製作国:日本

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《漫画原作の実写版の難しさ》

今更語るまでもないけど難しいよね。とりわけジャンプ漫画の実写化は本当に難しい。そんな中で数少ない成功って言えるクオリティで制作されたのがこのシリーズ。三部作の段階では全部劇場で鑑賞した。

 

コミックの実写化映画の方法論として何となく思うのが、作り方としてざっくり2種類に分けられる。

①映画の表現をコミックの表現に近づける

これはハリウッドのMCUのやり方。原作のはちゃめちゃな世界観を全力で再現する方法。そのために派手な世界観をVFX全開CG全開で作り込んでいく。

このやり方の場合、ぶっちゃけフルCGの映画と同じ。特にアベンジャーズクラスになると、映像の8割方CGだから原作の雰囲気を再現しやすい。その分原作ファンからも受け入れやすい。

とりわけアベンジャーズはこの方法論に脚本で現実世界を反映させるって離れ業をやってのけたからシビル・ウォーは別格。

 

②漫画の表現を現実的なものに置き換える

日本の映画ではコスト的にこちらにする事が多い。こちらはある程度日本の映画界で映画を作るハードルを下げる事に貢献してる。が、あまりに原作からかけ離れすぎて「これ、このタイトルでやる必要ある?」って作品になりがち。原作ファンほど反感を買いやすい。

 

 

日本の映画界は残念ながらどっちの方法でも失敗する事が多い気がする。

①をやったものの技術的にチープすぎてただのキワモノに成り果てるもの(○○の巨人とか、デビ○マンとか)、②をやるふりして実際にはアイドルの学芸会にしてタイトルだけで資金を回収しようとする映画とか...

『実写版銀魂』はその映画業界の状況そのものを全力で茶化しにいったから2作大ヒットしたけど、そう何度も使える手ではないしある意味裏技。

 

ジャンプ漫画の映画化の成功例で言えば『デスノート』は①と②の両方のバランスを上手に取った上で俳優の演技力で成立させたイメージ。メインが心理戦のサスペンスだからこれが出来たと思う。

 

で、『実写版るろ剣』はというと...②の方法論を突き詰めた結果上手くいった珍しい作品。それをジャンプお得意のバリバリバトルマンガでやってのけたことは素直に驚いた。

 

《バトル漫画の大河ドラマ化》

そもそも大友監督含めメインが『龍馬伝』から。漫画の実写化というよりは漫画原作を元にした大河ドラマと捉えるとすんなりと受け入れられる作品。原作好きな自分にしてみたら色々ツッコミ入れながら観る楽しみ方も出来たし、原作知らない人は純粋にドラマとして楽しめる。その辺りは上手いことやったな、と思う。主演の佐藤健も顔だけって思われるのは絶対イヤだったろうから本気で身体張ったアクションやってたから学芸会にもならなかったし。

原作の派手派手な服装をテイストだけ残して極力現実的な和服に落とし込んで無理のない表現にしてたし。

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流石に蒼紫様は汚くしすぎじゃね?と思ったがww

 

あとはアクション面。

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ご覧の通り原作では超ド派手な必殺技を現実的なレベルで再現をよくやったと思う。

勿論ワイヤーアクションも使ってるから実際にその技を完全に現実世界で使用可能にした、ってわけじゃないけど、それでもある程度の現実味を持たせることには成功してる。

思い出せる範囲で実写版で放った技

龍槌閃・双龍閃・龍巻閃・九頭龍閃・天翔龍閃

心の一方・背車刀・牙突(三式は無かったことにしてあげて)・陰陽撥止・回転剣舞六連・焔霊・紅蓮腕

思い浮かぶだけでこれだけの技を再現してみせたのはファンサービスとしてはなかなかに嬉しい。流石に九頭龍閃とかはだいぶ原作とは違うんだけど現実的にこんなもんだよな、ていうのを地味になりすぎないアレンジでよくやったと思う。牙突だけは...うん、ねぇ。

 

キャストについては実写化映画につきものの原作イメージと違ったりは正直あると思う。佐藤健龍馬伝のイメージから配役されたってのは納得はしてるけども。

とはいえ、あんなトンデモ漫画のイメージそのまんまで務まる俳優が日本にどのくらいいるのかって方が問題で...。剣心以外のメインの役どころに関してはこの役が務まるのは...という消去法でキャスティングしてるんだと思う。だって志々雄真実の最期の断末魔の高笑いを藤原竜也以外の俳優で出来る人居るか?って話だしね。

 

まぁ、この三部作までについては個人的には原作ファンでも十分楽しめるものだったと思う。

ただ...現在公開中の最終二部作は...どうも劇場にいくかどうかは...検討中。

この製作陣が一定のクオリティ出すだろうことはわかってるし、予告ではキャラクターのイメージを見てそこまで違和感は感じなかったんだけど...何如せん今回は『追憶編』をやるってとこがねぇ。この実写化映画と真逆のアプローチ、『実写映画の表現をアニメーションに取り入れる』という方法で唯一無二の存在感で名作となったOVAがあまりに存在感が大きすぎて絶対比較してしまう事がわかってるからなぁ。

 

観るときはOVAを思い出さずに観る事ができるか...こっちの問題ですなぁ。